秘伝のアドレス帳のこと

ガラケーがあらゆるフォーマットをぶっ壊しながら突っ走っていて、そのまわりでみんなが生まれ、そだち、そして死んでいった古き良きゼロ年代のある年末のこと。 殊勝なことに私は年賀状を人々に出そうと思って、当時持っていた京セラの小さなガラケーから microSD カードを経由して MS のなんか email みるやつ (名前もうわすれた) へエクスポートしては年賀状を (メールで) 送信したりして有意義な年始を向かえました。(容姿端麗成績優秀、さらに明るく社交的な性格なので皆に好かれていたし友だちも多かった)

それから寒い寒いと言って手を擦りながら初詣から帰ってくると、家ではパソコンに入っているメーラーが色々破滅的になっているアドレス帳とともに待っているわけですね。これをいつしか ThunderBird にエクスポートし、さらにいつしか (中3くらいかな) gmail にエクスポートしてそのたびにソフトウェアの時空の隙間を通ったアドレス帳は着実に破綻していきました。破綻です。

いつしか、名前と電話番号が入れ替わっている、住所やメモ欄がおかしくなっている、名前がなくなっている、同じ人間が二重三重に登録されている、プロフィール中に同じ電話番号が3つも並んでいる、どれが最新のメールアドレスか分からない (これは管理を怠った私に問題があるが……) と個性豊かなデータが何百件か gmail に入っているということになります。

ときは下って スマートフォン/クラウド全盛期時代、何が起きているかというと、ちょっと説明が難しいのですが……… 例えばあんまり仲もよくなかったクラスメートの住所が Google Maps 上に表示されていたり (たくさんある連絡先のうちわずか3件だけ。彼・彼女らにこれといった共通項はなさそうだ) 、 携帯を介して LINE や facebook にこれが輸出されていってとにかくすごいことになったり、すごい。すごいことになってきたな〜〜〜。これはもう解きほぐす気力もないし一生私はこの乱雑に破滅したデータと緩やかにつきあって暮らしていきます。